こんなにも海は大変なのか。
これが初めて海に漕ぎだした時の感想だ。
普段は湖における平水でのカヤッキングが多いけれども、琵琶湖北湖の沖島一周や、紀伊半島熊野川の川下り、三重県の宮川下りを経験し、ある程度の経験を踏まえていると思っていたけれど、今回の海はそんなに甘くはなかった。
以前トライアスロンの大会で、大きなうねりのある外洋を泳いだ経験はあるけれど、天気が良く風も穏やかな日であったため、それほど難行することなくスイムセクションを終えることができていたため、北西の風5~6mで白波が立つほどの海に漕ぎだすことにためらいを感じていた。
せっかくはるばる遠くからやってきたのだから、漕いで帰るべきだという思いが出てきたと思えば、こんなに風ビュービューで、白波が立っているような海に漕ぎだして大丈夫なのか!?エスキモーロールの練習を一回もしていないのに、いざうねりにあおられて沈した場合に這い上がることができるのか。いざというときにパドルフロートをうまく活用することができるのか!?風に煽られるヤシの木を眺めながら、しばらく考えをめぐらせた。
最終的には、自分が持っているのはシーカヤックで、ラダーもついており何とかなるだろう、との考えで落ち着いた。とりあえず出艇してみて、どうしようもなければ引き返せばいい。出艇場所のビーチから少し離れたところにある消波ブロックの手前までであれば、風の影響は受けにくいし、まずはその辺をとりあえず漕いでみよう、と。
100名山、200名山、300名山一筆書きを達成された田中陽気さんはテレビの中でなかなかシビアなコンディションでも長距離をカヤックで移動されてたことだし、今日の海は外洋とはいえ湾の入り口でもあるし、まぁ大丈夫であろうとも考えた。
そうと決まれば話は早い。カヤックをおろし、パドルをセット。細かなギアや食料を準備する傍ら、ガーミンのGPSmapの電源をオンにして衛星を探す。同時にガーミンスマートウォッチ(vivoactive3 music)もGPSを探すためにボタンを押す。水が冷めたかったら体も冷えるだろうと準備してきたウェットスーツ(使い古した裏起毛ドライスーツの下半身だけを切ったもの)は暑すぎて選択肢に入らなかったので、短パン、ビーサンにした。
最近の必須アイテムinsta360も忘れずにセットするものの、少しグラグラ不安定な状態がやや気にかかる。いつも接続が不安定なリモコンは今回は大丈夫であろうか。
さて、準備が整い出艇の時がきた。未だに風はビュービュー吹いているがまずは消波ブロックの手前をウロウロすることにする。案の定、心配したinsta360は自撮り棒の先っちょにとりつけているため、カヤックの揺れとともに左に右にユラユラと揺れている。さらにリモコンとの接続がうまくいかず動画の録画もスムーズにいかない。北風のオフと北西風のサイドオフの風に押されながら、とりあえず対岸まで向かう。
カヤックは波に対して垂直に漕げば安定するが、横からの波に対しては不安定この上ない。サイドオフの風があるため、ユラユラとウネリを感じながらのパドルとなった。さらにそれに合わせてinsta360が揺れてくれるものだから気になって気になって。
何やら調子が悪いとinsta360の画面表示を見てみると、黄色のビックリマークがあるではないか‼️合わせて『no space』の表示が、、、。何と中に入っているMicroSDカードがいっぱいになっていたのである。電池はしっかりと充電はしたものの、SDカードの容量まで確認することはしていなかった、、、。
やっとこさ対岸にたどり着いたと思ったら、肩にかけたスプレーカバーのベルトがうまく外れず上陸に手こずった。と、同時にカヤックが岸に打ち上げる波に押されもてあそばれている。そんなこんなで上陸に手間取っている間にinsta360の自撮り棒の根元に取り付けているプラスチックのステーが折れてしまった。カメラ本体と自撮り棒が海へ落っこちてしまったが、防水がしっかり効いているため不安もないが、予備のステーを持ってきておらず、SDカードの容量もいっぱいのためこの時点でinsta360は終了となった。
当初の計画では御座埼灯台を外洋から眺める計画であったが、さすがにこの北風ビュービュー状態では観光する気になれず、出艇地までまっすぐ戻ることにした。とはいえ、今まで北から南に追い風とともに南下してきて、これから北に引き返そうとしているカヤックには、容赦なく6mの向かい風が吹き付けているのが現状なのである。
しかしながらそんなことがあろうともとどまっているわけにもいかず、逆にとどまろうものなら向かい風に押し戻されるわけで、、、。
すったもんだしながら、どうにかこうにか帰着したのだが、計画していたカヤックでしか上陸できなさそうな浜にての昼食タイムが台無しになってしまった。出艇地の海水浴場でもまだまだ風が強く、OD缶のガスボンであろうとも防風版を持ってきていないため、自炊はあきらめた(自炊と言ってもいつもの「カレーメシ」であるが)。
こんな時もグーグルマップは優秀である。口コミの良い食堂にて昼食を食して帰ろうと企んだのである。げにまっことうまか中トロ丼であった。お値段2200円。北風と闘ったご褒美に、少しばかり奮発したのだった。
さて、次こそ無人島キャンプかな。