カヤック

Kayacking

 なぜこれほどまでにカヤックに惹かれるのか。

 一言で言えば、非日常を味わえるレベルが高いからだろうか。人工的な物に囲まれ、時間に追われ、様々な場面でたくさんのストレスを囲い込んでいる日常の生活から抜け出すには自然に出向くのが一番だと考える。しかしながら、自然に出向く際の選択肢はたくさんあって、カヤックはその中の一つの選択肢でしかない。でも、間違いなく最上位に位置するほどの価値があると断言できる。

 モーターボートやジェットスキーなどと比べると派手さはないし、移動の速さも比べ物にならないほど遅い。しかしながら、そもそも目的が違う。得られるものが違う。やはり次元が違う。

 ただただ水の上を漕ぎ進めるだけの作業に意味を見出せない場合はそれでいい。水に浮かぶ時間を楽しめるかどうか。楽しもうとしているか。楽しさを発見できるか。そこに非日常を発見できるかどうか。何かしら発見できたならば新しい価値観を得ることができる。

 日々の日常生活で気になっていることを日常の世界に全部置き去りにして、風や水、鳥のさえずりなどが作り出す自然そのものを楽しもうではないか。

 そもそもカヤックとはダブルパドルを使って、座っている視線の方向に進むボートのことを指し、レジャーカヤック、フィッシングカヤック、シーカヤックなどの種類がある。海や湖、川でのアドベンチャーを最大公約数的に楽しめるものはやはりシーカヤックであろうと考え、一泊二日の荷物を積み込める自艇を探し始めたのである。

 新品で購入すると軽く10万円を超えるし、使用頻度も少ないので、もちろん中古。カヤックショップのオーナーからはネットに出ているものは気をつけたほうがいいとのアドバイスをいただき、いろんなオークション、フリマサイトなどを物色し探すこと半年ほどでアメリカ製のほどほど良さそうなものが見つかった。

 2,3泊するのに十分な荷物を積み込むことができるハッチが前方と後方に1つずつ。ハッチの蓋の内側には水の侵入を防ぐハッチカバーあり。進行方向を定めるための舵取りのラダーは、コックピットから足で操作ができるという優れもの。さらにコックピットには姿勢を調整できる椅子と、両足で船体の安定を確保することができるステーのようなものが設置されている。入門するには必要にして十分である。

 カヤック本体に加えて付属品も揃える必要があり、安全に利用するために備えたものは以下の通り。

  • パドル・・・カーボン、アルミ、プラスチック製など強度、重量などにより値段もピンキリであり、私は手ごろな『Overmont カヤックパドル 2ピース分割 ストラップコード付き アルミ合金製 グラスファイバー ダブルブレード 全長230cm』をチョイス。
  • PFD(portable floating devise:ライフジャケット)・・・万が一落水してしまったときに浮力を確保するためのもの。海に出た時のことも考え、しっかりとしたメーカ『MTI コンプⅢ』をチョイス。
  • ビルジポンプ・・・コックピットなどにたまった水を船外へ排出するための手動ポンプ。『シートゥーサミット(SEA TO SUMMIT) Bilge Water Pump ST13N000000031』をチョイス。
  • パドルフロート・・・落水状態からパドルを利用して再乗艇するためにパドルに取り付ける浮き輪。
  • マリンコンパス・・・カヤックが進んでいる方向を確認するための水上コンパス。登山用のコンパスなどとは違い、進んでいる方向が常に手前に表示されるようになっている。
  • スプレースカート・・・パドル時の水しぶきや海上の波、急流の瀬などでコックピットに水が入らないようにするカバー。ウェットスーツの生地で作られているものが多い。
  • パドルリーシュ・・・パドルが落水した時に、流れていかないようにする流れ止め。
  • スローロープ・・・複数での水上アクティビティーで、救助が必要になったときに投げ込むレスキューロープ。カラビナでPFDなどに装着しておく。
  • ボートドーリー・・・カヤックに取り付けて移動させるトレーラー

また、GPS位置を記録できるGarminなどを活用し、Google Earthやカシミール3Dなどで表示させれば更に楽しさ倍増。

 日々の喧騒からかけ離れ、風の音、太陽からの日差しを浴びながら、この上ない非日常の時間を水の上で楽しめる術を知ってしまうと今までの日常生活にはもう戻れないかもしれない。

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